[こころは重要なファクターじゃない]

「わたしもかつてはこころの重要性を信じていたけど、こころや考え方なんて人生には大きくはないのよ」

とミモザはいった。ミモザはリュシカの友人である。

リュシカは珈琲を飲みながら切れ長の瞳を丸くした。ミドルタウンのカフェだ。

「驚いたな。君がそんなことをいうとは」

「人の成長よ。
それはたしかにこころの成長かもしれないけれど、人は立地に規定されるのよ」