「殺人鬼だ」


あたしも近づいてみると、確かに耳にはアザがあり見開かれた状態の目は灰色だった。


純也はそれ以上はなにも言わず、黙って包丁を取り出した。


そして死んでいる生徒の耳に押し当てる。


あたしはグッと下唇をかみ締めてその光景を見つめた。


今度は目をそらさない。


あたしもこれと同じことをしなきゃいけなくなるかもしれないのだから、しっかりと目に焼き付けておくつもりだった。


純也は少し呼吸を乱しながらも、耳を切り落とすことに成功した。


生徒の目を見ていると、それは灰色から通常の色へと戻って行った。


「やっぱり、そうなんだ……」