そのためには一度殺人鬼をなにかで弱らせたり、拘束する必要がある。


それに使うために棒を手にするつもりなのだろう。


「相手を殺さずにすむならそれが一番いいよね」


逃げている生徒たちは自分を守るために殺人鬼を殺すこともあるだろう。


だけど、耳のアザを切り取るだけで双方は助かるかもしれないんだ。


あたしはそう考えることにした。


「刃物を調達するのは調理室がいいと思う」


確かに、あそこならいくらでも包丁が置かれている。


ただ、場所は2階にあった。


2階がどれくらい被害があるのかわからないから、油断できない。


「行くか?」


聞かれてあたしは大きくうなづいた。


ここにいてもいずれ殺人犯に見つかってしまうだろう。


そうなる前に、できることはしておきたかった。


「よし、行こう」


純也はそう言い、トイレのドアを開けたのだった。