全身がガクガクと震えているのがわかる。


歯の根もかみ合わず、カチカチと音を立てた。


純也があたしの体を抱き寄せて、優しく背中をさすってくれたからどうにか発狂せずにいられた。


「あれはなんなの? どうしてあんなことになったの?」


雪がブツブツと呟くように言う。


誰かに質問している様子ではない。


でも、それはあたしたちが考えないといけない疑問だった。


あたしは震える足でどうにか立ち上がり、黒板の前まで移動した。


白いチョークを持って、一連の出来事を書いていく。


「まず最初に、トイレにいた理恵が豹変した」


あたしはトイレの床に広がっていた血を思い出し、奥歯をかみ締めた。


「次に幸子」


そう言ったのは香だった。


あたしはうなづき、それも黒板に書いていく。


そして次は柔道部の4人の男子たち。


「全員、灰色の目をしてたな」


純也が言う。


「そうだね。豹変した生徒たちはみんな灰色の目をしてた。これってなにかが感染したって考えられないかな?」


あたしはチョークを起き、みんなと同じ場所に戻って黒板を見つめた。