みんなごく自然にそれをやっているように見えた。


「これ、どういうこと?」


僕は思わず呟いた。


ついさっき見た光景を思い出すと、みんなが無理やりここへ連れてこられたことは明白だ。


なのにみんな嫌な顔ひとつ見せていない。


「洗脳だ」


そう言ったのは大夢だった。


僕はギョッとして大夢へ視線を向ける。


「昔、大家族の中に入り込んで一家全員を洗脳して、殺し合いをさせた男がいる。それと同じだ」


「お、女の子たちもみんな洗脳されてるってこと?」


「たぶんな。じゃないとこんなのおかしいだろ」


大夢は至って真剣な表情だ。


そんな事件が実際に起こったのなら、こうして女の子たちが洗脳されているのも決しておかしくはないのかもしれない。


「ちょっと待って。ここってどこ? 先生の家?」


大事なことを聞き忘れていたことに気がついた。


「あぁ。先生の家の離れだ」


啓治が答えた。


僕はすぐに丘の上の屋敷を思い出していた。


確か、家には今先生が1人で暮らしているはずだ。