☆☆☆

先生が言っていた通り、今日は全校集会だけで帰れることになった。


全校集会の内容はしばらく集団下校をすること。


家から出るときも1人じゃなく、家族と一緒にいること。


と言ったとにかく1人で行動しないことだった。


もちろん、今日も集団下校をすることになった。


僕たちはグラウンドに集合させられ、格通学班に分かれて並ばされた。


僕は6年生だから、通学班の中じゃ一番前を歩くようになる。


他の子たちを連れて行くのだ。


これじゃ先生を見張ることができない。


僕は目だけで香西先生を探した。


先生は生徒たちが整列している列の横に腕組みをして立っていた。


その姿はまるで監視者のようで、気分が悪くなった。


先生の場合、なにをどう監視しているのかわからないからだ。


そして数分後、僕らの班も帰宅を始めた。


僕は時々振り返り、小さな子たちがついてきているかどうか確認した。


1年生や2年生は目の前にあるものすべてに興味がわいていて、途中で立ち止まったりわき道にそれそうになったりする。


僕はそのたびに声をかけて列を軌道修正し、どうにか通学班の集合場所までやってきた。ここまで来ると、後は各自自宅へ戻るだけだ。


「気をつけて帰れよ」


僕はしたの子たちに声をかけて見送る。


普段はここまでせずに帰るのだけれど、今日の僕はまだやることが残っていた。