それから朝の会が始まる時間まで待ったけれど、結局大夢は来なかった。


「えー、今日は大切なお知らせがあります」


いつものように通らない声で香西先生が言う。


髪の毛はボサボサで、今日は目の下にクマもできている。


いつにもまして近寄りがたい雰囲気をかもし出している。


「昨日の夜から竹前大夢君は家に戻っていないようです。なにか心当たりのある人は、先生に申し出てください」


やる気のない声に啓治がいらだっているのがわかった。


しかし、教室内は先生からの説明にざわめいた。


このクラスでは一ヶ月前に梨乃がいなくなっているから、敏感になっている子たちが多いのだ。


「大夢君って、昨日はちゃんと学校来てたよね?」


「うん。放課後までいたよ」


「その後、どうしたんだろう」


そんな会話が聞こえてくる。