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それから1時間が経過していた。


僕と啓治はとっくに合流していたけれど、大夢との連絡はつかないままだった。


大夢の家に連絡をしてみたけれど、まだ帰っていないという。


僕たちはその電話のときに顔を見合わせ、大夢がいなくなったことを伝えた。


すると大夢のお母さんは電話口で慌てふためき、それから僕たちの元へやってきていた。


「大夢がいなくなったってどういうこと?」


自動車でやってきた大夢のお母さんは青ざめた顔で聞いてくる。


僕たちは先生のことだけ伏せて本当のことを説明した。


バラバラに行動したのは行きたい場所が違ったからだと言った。


大夢のお母さんが青ざめたままだったけれど、しっかり事情を受け止め「わかった。大夢は私が探すから、あなたたちは早く家に戻りなさい」と言ってくれた。


それでも簡単に帰れずはずがない。


大夢を巻き込んだのは僕なのだ。


「もしかして先生に感づかれたか」


2人で自転車を押して帰路を歩きながら大夢を探しているとき、啓治が言った。


「まさか……」


「大夢は先生を見つけた。それから先生を尾行して、犯行現場を目撃した。だから誘拐された」


啓治が想像を働かせる。


僕は否定したかったが、できなかった。


その可能性は十分にあると思えた。