僕たちは必死になって自転車をこいだ。


しかし、相手は車だ。


信号機にかからない限りスピードも緩めない。


先生の車は見る見る遠ざかっていく。


「くそっ! こうなったらバラバラになって追いかけるぞ! 先生が行きそうな場所に向かうんだ!」


啓治が怒鳴るようにいい、僕らは三叉路で別々の道へと走りだした。


先生の行きそうな場所なんて正直わからないけれど、買い物ならスーパーだし、もしかしたら本屋かもしれない。


とにかく、その辺をあたることにした。


僕はまず近くのスーパーの駐車場を確認した。


先生の車は見当たらない。


次に近くの本屋さんだ。


ここにも先生の車はない。


「どこに行ったんだ……?」


もしかしたら検討違いなのかもしれない。


先生はもっと遠く、それこそ隣町にまで行ってしまったとか?


そう考えて、本屋の駐車場で自転車にまたがったまま思案する。


もし隣町に行ったりしていたら、自転車じゃ追いつけない。


バスとか、電車での移動になる。


他の2人呼んだほうがいいかもしれない。


そう思っていると、スマホが震えた。


画面を確認してみると、相手は啓治だ。