「そんなのよく拾うな」


大夢は呆れ顔だ。


「うるせぇ! そのおかげでここまで来たんだろ!」


啓治は大夢の首を腕でロックして怒鳴る。


大夢はすぐに「ギブギブ!」と声を上げている。


不思議なゲームだけど、あれのおかげで梨乃を助けられるかもしれないことは事実だ。


一度電源を落とすと、取り出したばかりの記憶が消えてしまうというのも、不思議だった。


他にもいろいろな生原下の中であのゲームが成り立っているのかもしれない。


それから、また時間は経過した。


太陽はどんどん傾いて、5時のチャイムが鳴り始める時間帯。


このままじゃまた送って帰られてしまう。


そう思って焦った時、ようやく先生の車が動きだしたのが見えた。


先生の運転する車が丘を下りていく。


「動いた!!」


僕は叫び声を上げてすぐに部屋を飛び出した。


少し遅れて2人もついてくる。


ちょうどリビンクから出てきた大夢のお母さんと鉢合わせをしたので「お邪魔しました!」と早口で挨拶をして、そのまま玄関をかけ出る。


3人で自転車に乗り、先生の車が走って行った方向へと走らせる。


それは学校の方面だった。


この前放課後にバッタリ会ったときも、先生は学校の付近にいた。