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大夢の部屋でお菓子を広げて先生の家を監視する。


なんだか僕は探偵になった気分になってくる。


だけど実際はそんなにいいものじゃない。


梨乃を助けるという最大の目的を忘れないように、自分自身を叱咤する。


「全然動かねぇなぁ」


昼が過ぎたくらいで啓治が口を尖らせて呟く。


「先生って友達いさなそうじゃん。きっと休日は暇なんだよ」


大夢がそう言って声を上げて笑った。


2人はさっきから漫画を読んだりゲームをしたりして時間をつぶしている。


僕にも漫画が渡されたけれど、いちページも開いていなかった。


読んでいる間に先生が動くかもしれないからだ。


「そういえば、啓治はどこであんなゲームを買ったんだ?」


不思議なゲームのことを思い出して聞けば「拾った」と、返事が戻ってきた。


僕は思わず先生の屋敷から目を離して「拾った?」と、聞き返した。


「あぁ」


「買ったって言ってなかったか?」


大夢が漫画から目を上げて言う。


「そりゃあ、教室にいたからな。実際には拾ったんだ。コンビニのごみ箱の横に落ちてた」


ゲームソフトを落とすなんてことはあまりないだろうから、実際には捨てていかれたものだったのかもしれない。


ごみ箱に入らなくて、横に置いていったのかも。