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「先生どこに言ったんだろうな……」


教室を出て職員室へ向かったものの、そこには香西先生の姿はなかった。


心あたりを探してみても、どこにもいない。


学校の駐車場まで移動してみると、香西先生の白い車はまだ停まっていた。


「どうする? ここで待つか?」


啓治に聞かれて僕はうなづいた。


「だけど車で移動されたらすぐに見失っちゃうだろ? 俺たち歩きなんだから」


大夢に言われて、僕は考え込んだ。


せめて自転車があればいいけれど、自転車通学は許されていないからここにはない。


どうすればいいだろうかと考えていると「よかったら、俺の家に来るか?」と、大夢が言った。


「大夢の家に?」


「あぁ。実は先生の家の近くなんだ。近くって言っても、それほどじゃないけど」


妙な説明をする大夢に首を傾げるが、それなら家で待たせてもらったほうが断然いい。


僕は大きくうなづいた。


「よし、じゃあ大夢の家に移動しよう」


啓治がそう言い僕たち3人は移動を開始したのだった。