「信じて……いいの?」


僕は情けない声で2人に聞いていた。


途端に啓治が大またに近づいてきたので、逃げ腰になってしまう。


啓治は大きな手を僕に差し出して強引に握手をしてきた。


痛いくらい握られて顔をしかめる。


「今回ばかりは冗談でもなんでもねぇ。俺だって本気だ」


「お、俺も」


大夢が慌てて手を差し出し、僕たちの握手の上に重ねた。


冗談ではないと理解した瞬間目の奥がジンッと熱くなるのを感じた。


この2人が僕に手を貸してくれる。


それは信じられない展開だった。


呆然としてしまうのも仕方ない。


だけどそうやって立ち尽くしている時間ももったいなかった。


僕は目に力をこめて涙がこぼれないように我慢をすると「ありがとう!」と2人へ向けていい、勢いよく教室を出たのだった。