「僕、もう行かないと。先生の後を追いかけて梨乃の居場所を突き止めるんだ」


僕はスマホで時間を確認して言った。


授業中は使用禁止だけれど、持ち込んで放課後に利用することは可能だった。


教室を出ようとしたとき、「待てよ!」と、声をかけられた。


立ち止まって振り返ると、真剣な表情の啓治と不安そうな表情の大夢が僕を見ていた。


「なんだよ。時間がないんだ」


「本気なんだな?」


啓治の言葉に僕は首をかしげる。


「本気で梨乃を探すんだな?」


「もちろんだ」


今度は大きくうなづいた。


今更なにを当たり前のことを聞いてくるんだとあきれそうになった。


「それなら、俺たちも手伝う」


次に言われた言葉に僕は目を見開いて啓治を見た。


「え?」


「俺たちも手伝うって言ってんだ」


また冗談を言われているんだろうか?


信じた瞬間、笑われるんだろうか?


不安になったが、啓治は笑わなかった。


大夢は諦めた顔になって「手伝うよ」と、声をかけてくる。