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「僕は梨乃を探す」


それは放課後のことだった。


僕は啓治と大夢の2人に呼ばれて教室に残っていた。


他のみんはもう誰もいなくて、教師内はガランとしている。


そんな中啓治と大夢は、ゲームで見たことを黙っているように僕に言ってきたのだ。


だから僕は拒否した。


「なに言ってんだよお前」


啓治は心底呆れた、という表情で僕を見た。


「僕はずっと梨乃を探してたんだ。やっと見つけることができるかもしれない」


「見つけたとしても、生きてるかどうかわからないだろ」


大夢の言葉に僕は一瞬言葉を失った。


この一ヶ月間それだけは考えないようにしてきたことだった。


「梨乃は生きてる」


「おい、夢見るのはいいけど、これは現実の事件なんだぞ?」


啓治が珍しく僕を心配してくれているようだった。


でも、心配は無用だった。


僕は梨乃を探し出す。


それを遂行できるのなら、どれだけ痛い思いをしても平気だった。


今までだって梨乃を探す途中でこけたり、ぶつけたりして怪我をしてきた。


だけどちっとも痛くなかった。