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それでも、僕の胸には希望が生まれていた。


なにせ行方不明事件は誘拐だとわかり、更に犯人までわかったのだ。


ここまでくればあとは梨乃を探し出すだけでいい。


僕は授業を受けながら先生をいるような視線で睨んでいた。


お前が犯人だ。


僕は知ってるんだぞ。


お前は5人の女の子たちを誘拐したんだ。


そういえば、と思い出す。


昨日の放課後先生に会ったとき、先生は黒くて大きなカバンを持っていた。


それは学校内では見たことのないカバンだった。


もしかして、あのカバンの中にヒントがあるんじゃ……?


そう思うと、いてもたってもいられない気分になった。


だって、あのカバンが犯罪に一役買っているとすれば、先生はまた同じように誰かを誘拐するつもりでいたということになる。


もしかして、昨日また……?


そこまで考えて、左右に首を振って考えを打ち消した。


いや、昨日はそういう事件が起こったとニュースでは言っていなかった。


きっと、偶然僕に見られたから犯行を諦めたんだろう。


とにかく、もうすぐ梨乃を見つけ出すことができるかもしれないんだ。


僕はその期待に胸を膨らませたのだった。