啓治がゲームを操作して先生のこの1年間の記憶の詳細を表示させた。


先生のことだからほとんどが学校に関することだろう。


そう思っていたけれど、予想は簡単に裏切られた。


先生の記憶の大半を占めているのは『娘のこと』だったからだ。


「先生って娘さんがいたんだ」


大夢が呟く。


僕も同意見だった。


そんな話は聞いたことがなかった。


そもそも、先生は無駄な話を一切しないから、私生活はなぞに包まれているのだ。


そのため、画面の文字に興味がわいてきた。


これをプレイすれば、先生のことが少しはわかってくるかもしれない。


「なんだこれ。『娘の代わり』?」


画面を見ていた啓治が手を止めて眉間にシワを寄せた。


それは半年ほど前の先生の記憶だった。


「なんだろう。それをプレイしてみようよ!」


大夢も興味を抱いたらしく、啓治をせかす。


啓治はその言葉に誘われるようにしてゲームをプレイした。


しかし、それはすぐに後悔することとなった。