先生が僕へ向けてナイフの刃先を向けたその瞬間だった。


パトカーの音が近づいてくるのがわかった。


それはどんどん近づき、丘をあがってくる。


丘の上に建っているのはこの屋敷だけなので、先生の目が丸く見開かれた。


「警察だ」


大夢が安堵した声を上げる。


「クソ! 通報したのは誰だ!?」


先生が怒鳴る。


しかし、誰も返事ができなかった。


僕たちはずっと拘束されていて、スマホのありかをついさっき知ったところだ。


少女たちが通報するとも思えない。


だとしたら、誰が……。


そう思っていると梨乃が先生に近づいた。


「もうやめましょう。先生」


梨乃の言葉に先生は唖然として梨乃を見つめた。