スマホがあれば外部と連絡が取れると思っていたのに。


僕はまた奥歯をかみ締める。


いざとなれば少女たちを突き飛ばして外へ出るしかない。


そんなこと、できればしたくないけれど……。


僕は視界の中にゴルフクラブを入れる。


これがあればきっと外に出ることはできる!


僕は一瞬の内にしゃがみこみ、それを手に握り締めていた。


それは自分でも信じられない俊敏な動きだった。


ゴルフクラブを握り締めて立ち上がった僕を見て、少女たちが悲鳴を上げる。


いくらお父さんのためとはいえ、さすがに怖いみたいだ。


少女たちの中から怖いという感情を排除していなかったことに感謝する。


「そこをどいてくれないか」


僕はクラブを両手で握り締めて言った。


「い、嫌よ……!」


拒否する少女の声が震えている。