先生は自分で人を洗脳する才能があったと言ったが、それは本当だったようだ。


僕は倒れている先生を見下ろして背中に汗が流れていくのを感じた。


こんなところでモタモタしていたら先生が目を覚ましてしまう!


「そうだ、スマホ」


僕は小さく呟いた。


そしてすぐにズボンのポケットを確認する。


しかし、普段持っているはずのスマホがない。


「なにを探しているの?」


立ちはだかる少女の1人に言われて僕は慌てた。


「別に、なにも」


「これを探してるんじゃないの?」


そう言って棚から取り出されたのは啓治の青いスマホだった。


「てめぇ、いつの間に俺のスマホ奪いやがった!」


啓治の血管が浮くのがわかる。


「あぁ、これはあなたのだったか。それじゃこっちかな?」


次に取り出したのは白いスマホ。


これは大夢のものだ。


全員分のスマホがあそこに保管されているのだろう。