千夏はそれを知らない。



…でも、私が勝手に言ってもいいようなことじゃないと思うから。



どうするべきかと悩みながらも卵焼きを頬張ると、千景はどんよりとした空を見上げながら口を開いた。



「…そっかぁ。影野くん、たしかに雫ちゃんのことよく見てたかも」



「…気のせいでしょ」



「ううん、そんなことないよ?だって、雫ちゃんと瀬名くんが一緒にいると絶対話しかけてきてたもん」



「それはただの偶然じゃ…」



………ない、かもしれない。



千夏に言われて思い返してみても、“絶対”かは分からないけどたしかにそんな気がする。