「…っなに、冗談言って…」
「さっきのキスが、冗談だと思った?」
「っ、」
だから、なんでそんなに辛そうに笑うの?
今辛いのは、私のはずでしょ…?
「ずっとずっと、霧山さんだけを見てた。結弦のことを目で追う霧山さんも、結弦に甘えられて仕方なく受け入れながら、嬉しそうな霧山さんも」
知らない、知らない。
「俺が付け入る隙もないくらいだから、様子を見ようって思ってて。そしたら今日、結弦は来てないし霧山さんは悲しそうだし…正直、今しかないって思ったんだ。霧山さんには悪いけど…こうするしか、他になかった」