「それってどういう…」
影野くんの意味深な言葉に疑問を持ちつつ、ふと「ん?」と違和感があることに気がついた。
……“俺”…?
影野くんって、普段一人称“僕”じゃなかった?
もう影野くんのどこからどこまでが“本当”の影野くんなのかわからなくなってくる。
色んなことを頭の中でぐるぐると考えていると、目の前が暗くなっていて。
「へ…影野く…」
「でも、そんなに結弦のことで苦しむくらいなら…」
影野くんの動きがスローモーションになったみたいに映る。
結弦よりも細くて長い骨ばった手が、私の方に伸びてきているのに。