「ね?大丈夫だったでしょ?」


そんな言葉と共に、室内と屋上の間にある扉から光が差し込んだ。


う……嘘だ。


信じられない。


なんで影野くんがその鍵を持っているのかも、どうしていつもと違うのかも。


何もかもがわからないまま、手を引かれて屋上へと足を踏み入れる。


決して快晴とは言えない曇り空が、私たちを迎えた。


「うーん、今日は一日中こんな天気かな」


影野くんは空を見上げ、特に気にしてないはいなそうにボソッとこぼす。


「座りたいところだけど、椅子とか気の利いたものはないから立ち話でもいい?」


「それは…別にいいよ」