そりゃそうだ。
いつも優しくてお兄さん的存在の優等生が、サボるなんてことを言い出したのだから。
当の私は、驚いて声も出ない。
影野くんに連れていかれるがまま進んでいく。
「足元、気をつけてね」
「あ……う、うん…」
気がつけば屋上に続く階段の手前にいて。
影野くんは私のほうを見ずにそう言うと、階段を上り始めた。
え……屋上って、普通は行っちゃダメじゃなかった?
漫画とかだと普通に行き来できるのに、現実ではそううまくはいかない。
だいたい施錠されて鍵がかかっている。
それはうちの高校も例外じゃないのに。