こうなるのが嫌なら勉強すればいいのに。


「テストは実力で挑むものだよ」とか言うから、毎回こうなるのだ。


「ねぇ、雫…。その…」


指をモジモジとさせ、視線を下げるのはこれで何回目だろう。


「勉強、教えてください…」


「…言うと思った」


「一生のお願い…!」


結弦の『一生のお願い』も、結弦お得意のもの。


「結弦には一生が何回あるの?」


「ううっ、そんなこと言わないで雫〜!」


…今回こそは断ろうと思ってたのに。


結弦のその悲しそうな顔は、捨てられた子犬そのもの。