そして1週間が経つ頃



「ははは、遥馬、夢じゃないよね?」


「ああ、ゆ、夢じゃない、ふふふふ、風香の手の温もりが何よりも証拠だ」


「ハイカットー!!!」



俺と水瀬のセリフに湯山は止めに入る




「肩の力を抜きなさい2人ともー!
本番まだなんだからここで緊張してちゃ意味無いでしょー」


風馬
「でもなーどうやったら感情移入出来るかわかんねーんだよ」


遥香
「うん、難しい」


俺と水瀬は役作りに苦戦していた



「まあねー2人はそんな器用に自分を偽れるタイプじゃないからなー
だからこそ……」


湯山は俺と水瀬の肩に手を置いて



「偽らなくてもいいんだよ
2人のままでいい、セリフも2人なりに変えてもいいから」



俺らなりにか



そして放課後、みんなでマックに寄る



「ほら、聞こえる?私の心臓の音
遥馬と生きるためにまだ動いてるんだよ」


水瀬がぎこちなく言う



「んーー良くなってるんだけど
悲しい感情が入ってこないなー」


遥香
「難しいなー」



「しずくやってみて」


しずく
「なんで私が!?」



「何となく上手そう
感情豊かだし」


しずく
「何それ!」


ひまわり
「私も聞いてみたーい」


しずく
「ひまちゃんまで!?」


みんなが手島を見る


しずく
「……すぅーーー…ほら、聞こえる?私の心臓の音……
……すぅーーー……遥馬と生きるために……
まだ、動いてるんだよ……」



手島の息遣いと絶妙な間が胸にグっとくる



ひまわり
「う、うまー!」



「やっぱあたしの見込んだ通りだ」


しずく
「そ、そうかな?」


遥香
「すごいよしずくさん!」


しずく
「あはは…」


照れくさそうにしている手島


でも本当に上手かったな