光井君と一緒に図書室に向かう


本当は忘れ物なんてないんだけどね



図書室に着くと


「忘れ物ってなんだ?」



光井君が私に聞く


「忘れ物っていうよりは
渡し忘れだね」


「……え?」



私はカバンからチョコを取り出す


「これ、光井君に渡そうと思って」


「これは……」


「チョコだよ、今日バレンタインだもんね」


「あ、ありがとー!めちゃくちゃ嬉しいよ!」


「……ほんと?」


光井君はすごく喜んでくれてる様子だった


「あのね、光井君、私、このチョコ渡すのに
何回も渡す練習してシュミレーション完璧にしたのに
勇気が出なくて、光井君にちょっと八つ当たりしちゃったの、ごめんなさい」


「あ、あぁいいんだよ!
今こうやって渡してくれてるんだから」


バレンタインの力を借りて


もう少しだけ勇気を出したい






「本命かどうかは、味で確かめてね」


「………え??」



「じ、じゃあね!ごめんね、時間取らせちゃって!
私、職員室に行ってくるから!」


私は誤魔化すようにその場を去る



あともう少し……


もう少しで言えそう……


私だって負けないよ


ひまわりさんにも誰にも負けたくない



光井君の事が好きって気持ちは誰にも負けないから