早速商店街に行く



緊張しながらも俺は水瀬の前をリードしてる風に歩く


「久しぶりに来た、懐かしいなー」


小学校以来だと水瀬は3年ぶりくらいか?


「ここは毎年賑やかだからなー
祭りってやっぱテンション上がるな!」


俺は言葉通り無理矢理テンションを高くする


ああ、2人きりだからなんか緊張してしまうわ



「毎年行ってたの?」


水瀬が聞く


「そうだよ、妹とひまわりと一緒に」


俺は何気なく答える


しかし重要なことに気付かなかった


「今年はひまわりさんと行かなかったの?」


水瀬が心配するような目つきで聞いてくる


そ、そうだった


毎年ひまわりと行ってて今年はなんで行かなかったのかという言い訳を考えてなかった


ま、まあいいや、適当に誤魔化そう



「今年は来れないみたいだな!ははは」


誰もが疑いそうな言い訳をした


「そうなんだ」


それでも納得してくれる水瀬


本当に俺はいつかバチ当たるな




商店街を歩くと


沢山の屋台が広がる


「こんなに多いと何から買ったらいいかわかんなくなっちゃうね」


水瀬がうきうきと歩く


浴衣姿の水瀬と背景にお祭りが重なるとこんなにも綺麗なんだな



今にも手を握ってしまいそうな衝動を抑えながら俺も前に進む



「とりあえず腹減ったな」


「そうだね」


「たこ焼きでも食うか!」


「うん」


たこ焼き屋さんに入る


「たこ焼き2つください」


屋台のおっちゃんに言うと


「はいよーこれ彼女さんの分ね」


そう言っておっちゃんは水瀬にたこ焼きを渡した


「……ありがとうございます」


水瀬も受け取る



彼女さんの分……


俺らは今、周りの人からするとカップルに見えるのかな?


俺と水瀬はお似合いなのかな……?


やっぱ俺は水瀬に恋を……


『私がふーまに恋してるからかな?』


【……ズキッ!!】



…え?




なんか今…一瞬ひまわりが過ぎった?


少し胸が痛む


なんでこんなに胸が痛むんだ?


「光井君、そこに座って食べよ?」


水瀬は近くにある石のレンガみたいな所に指を差す


「……うん」


俺はそのレンガに座る



……水瀬と2人で居るのに


なんで俺はひまわりを思い出すんだ…



水瀬とたこ焼きを食べる


「おいしい〜」


水瀬は幸せそうな顔を浮かべる


……やっぱかわいいな


「よかったな」


そんな水瀬を見てると俺まで幸せな気分になってくる


うん、そうだ


俺は水瀬とお祭りに来てるんだ


ひまわりが頭に過ぎるのはきっと毎年一緒に来てたからだな