「ふふっ、いっつも言ってる」

「えへ、へっ……」

 なにそれ……ずるい……。

 ヒヨは僕を弄んでいるのだろうか?

 そんなに可愛く微笑んで、誰が返すかよ。

「やっぱり帰らなくていいよ」

「ええっ……で、でも……ちゃんとしてないと……これから、尊和くんと結婚するには、お義父さんからいい印象受けないとだから」

 そう言って、可愛く微笑んだヒヨ。

「っ……ごめんね。わかった」

 そう言って、額にキスを落とした。

——これは、ヒヨがそこまで考えてくれているんだなとすごく理解した瞬間であり、同時に、ヒヨへの独占欲その他が増した瞬間だった。でも、それをヒヨは知らない。

end