ヤンデレな子犬系狼様の愛は重すぎる。

「わっ……柔らかい……」

 頭を撫でてあげていると、頭の柔らかさにびっくりした。

 本当は、私だって……ヤキモチぐらいしてるのになぁ……。

「んぅ……」

 あ、お、起きちゃうっ……。

 ど、どうしよう……。

「ヒヨ……行かないで……待って……」

 ……?

 すると、すごく寂しそうな顔をした尊和くん。

 ね、寝言……?

「尊和くんっ……!だ、大丈夫だよ……?」

 って言っても……聞こえないか……。

 尊和くんの頭が痛まないようにと今更だが、いわゆる膝枕をする。

 か、顔ちっちゃいっ……!

「尊和くん……愛してるよ……」

 っ!わ、私はなにを……!

 愛らしい、ちょっと悲しげな顔をする尊和くんを見ていると、自然とそんな言葉が出てきてしまったっ……。

「ふふっ、ヒヨ〜聞いちゃった」

「へっ!?お、起きてたの……!?」

 だ、騙された……!?

「尊和くん……愛してるよ……かぁ録音しといてよかったぁ……」

「ろ、録音!?」

「なにかあった時の為に、僕が気絶した“ふり”をしてから録音しておいたの〜ついでに、ヒヨの為の防犯カメラもあるし〜侵入者が入ってきて、ヒヨを見たら殺すようのナイフもあるし〜」

「ええっ……!?」

 そ、そんなっ……!

「さっきは……鎖とか、ごめんね……僕、ヒヨが好きすぎて精神状態不安定なの……」

「ええっ……!?」

「許してね……仮に、それぐらいヒヨが大好きってことだから……」

「っ……は、はいっ……!わ、私も、大好きだよっ……!」

「ふふっ、ありがとうっ」

 そう言って、私達は、抱きしめあった。

 次の日。

 学校が再開して、いつも通りになってしまった、尊和くんとの登校。

 昨日は、怖かったけれど、ちょっと不器用な、尊和くんの愛情表現なんだなぁと思いまとめた。

「ヒヨ、今日も一緒に屋上でお弁当食べようね〜」

「ふふっ、そうだね」

 そんな会話を交わしながら、学校に向かった。

***

 教室に着いた。

 もちろん、尊和くんが教室まで送ってくれた。

「あー!可愛い〜!日和は天使だなぁ!」

「そ、そんなことないよ!し、静かにしてぇ!」

「ほら、来楽、日和が困ってるわよ」

「あーはいはい。」

「あと、私、前から思ってたんだけど、来楽って珍しい名前よね」

「そうか?」

 ふふっ、来楽ちゃんは知らないかもしれないけれど、確か、らいらって名前には、とっても素敵な意味が込められていた記憶があるっ。

 そんなことを考えながら、1日を過ごした。


 放課後、私は……校舎裏に、呼び出されているらしい。

「……あんた!尊和くんに手出さないでよ!」

 こ、後輩……?

「て、手出すって……。え、えっと……」

「ふふっ、なにやってんの?おんなじクラスのブス。どうやら……僕……いやもういいや。俺にぶっころされてぇんだなぁ」

「と、尊和くんっ!?」

 な、なぜ!?そ、そして、俺!?

 あ、頭の中が!ゴチャゴチャだよっ……。
 
「玲〜!」

「……どうしたの、尊和」

 な、なんで玲様が!?

「コイツら、ヒヨをいじめようとしてたんだけど、首絞めて殺すのと、刺し殺すのどっちがいいかなぁ」

「えー首締めるんだったら、触るじゃん?こんなヤツらに触るのはキショすぎ」

「じゃあ包丁3本持ってきて〜」

「やっすいのでいい〜?」

「当たり前だよ〜」

 ええっ……!?

「ひぃっ……!許してぇ……!」

「ごめんなさいっ!!!」

「こ、コイツがやったのよ!」

「はぁ!?アンタでしょ!?」

「元はといえばアンタよ!!!」

 け、喧嘩してるっ……?

「もー!うるさいなぁ。もうすぐ死んじゃうからってぇ〜」

「「「やめてください!!許してください!!ごめんなさい!!」」」

 す、すごい、そ、揃ってるっ……。

「え〜……じゃあ最低目潰しだけでも……」

「み、みんな逃げてぇ……!」

 私がそう言うと、後輩達はすごいスピードで去っていった。

 ふぅ……よかったぁ……。

「あーあ……殺さなかったぁ……」

「だめだよ、冗談でも」

「え?冗談……?なにが……?」

「へっ……?」

 私は、今日この日、この瞬間に、この子、尊和くんは、相当なヤンデレ……?だと改めて理解した。


「「日和、僕と付き合って!!」」

 ええっ……!?

 尊和くんとの学校の、事件が起きたあと、お屋敷に行けば、こう言われた。

 それも……。

 舞様と、明様に……

「ふ、2人共、告白の練習ですか?な、なら、お部屋行きましょうか?」

 しょ、小学生に、告白されるなんて……練習以外、考えられない……!それに、仮に本当だとしたら、また、鎖でっ……。

『ヒヨ……もう一緒に死んじゃおうかぁ』

「っ!」

 と、尊和くんの、幻聴……!?

「う、嘘じゃない……!」

「僕達、本当に日和が好きなの!」

「ええっ……!え、えっと……じゃあ、もうちょっと大きくなって、2人がもっとカッコよくなってたら、考えてあげますね」

 ちょっとクズっぷりを見せて、断るっ。

 ふ、2人共十分すぎるイケメンだけれど、多分、もっと大きくなったら、もっとカッコよくなっちゃうんだろうなぁ。

 そんなことを思っていれば、

「日和好きです、付き合ってください」

「日和〜!大好き!付き合って!」

「日和、ずっと愛してあげるから、僕と付き合おう?」

 ん?んんっ?

 感様、晴人様、玲様と、幻覚が見えているのだろうか?