俺が注意するって…

「やめて、困る困る。
 そんな事したら余計に拗れるだけ。
 私も子供じゃないんだし
 事を荒立てたくないよ」

美南さんに何を言ったとしても
火に油を注ぐだけ。
文句1つ、好きな人に言われたりでもすれば
先行きは悪い方向にしかいかないのは目に見えてる。

「美南は本当、誰に対しても火種の元を作る。
 俺が関係してんのはわかっているんだけどさ…」

「然さんが関係してる?」

「そうだね。
 毎回だから原因の想像はつく」

以前にも同じような事があった口ぶり。
『彼と寝たんじゃないか』って疑ってたのは
私にだけじゃなかった?

「いいかげん俺も”ケリ”をつけないといけないとは思ってる」

意味深な言葉を口にし暗い影を落とす然さんを見るのは、初めてかもしれない―――


その後。
私が作った夕飯を囲んで彼と食事を済ませ
玄関で見送る事に。

「今日はごちそうさま。
 美味しかったし、なんか楽しかった」

「う、うん…」

「じゃぁまた明日」

ニコっと笑顔を向けた彼は
いつも通りのイケメンだ。