なんでも出来そうなイメージだったから
きっと料理なんてフルコースが当たり前なのかと思ってた。

この人でも、やらない事とかってあるんだ…
初めてちょっと親近感がわいたかもしれない。

「あの、もし良かったら
 夕飯食べていきます?
 お口に合うかはわからないけどね」

「え…?」

「ケーキのお礼…ってほどではないですが…」

あまり深くは考えていなくて
『ちゃんと食べないと』って母親の気持ちで誘ってみる事に。

「いいの?」

「え、えぇ…
 ここは貴方の部屋でもありますし…」

ビックリしたような顔をする彼に
逆にこっちは疑問に思ってしまう。

すると彼は
少し困った表情をし…

「…本当、貴方って人は。」

「…なんです?」

あまりにも小さく囁くように呟いた声だったから聞き取れず
何か言ったような気がして聞き返してみたけれど
『なんでもない』と笑顔で(かわ)されてしまった。

ひとまず然さんを部屋に招き入れ
待っているように伝えて調理に取り掛かる事に。