「…もういい。
 私が言いたかったのはそれだから。
 それと。然に近付かないで」

キリっと再び睨まれ、一方的に言葉を吐き捨てると
美南さんは先に出て行ってしまった。

後味が悪く
言われてしまった言葉1つ1つが
胸に突き刺さるーーー



美南さんと別れたあと
然さんと仕事のために事務所へと戻ってみたものの。

「おーい、由凪さん?
 聞いてる?」

打ち合わせをしている最中だと言うのに
心ここに在らずでボーッとしていた私。

「ご、ごめんなさい!」

慌てて謝り、手元の資料に目を通すが
彼は困った表情を浮かべている。

「大丈夫?
 初めての事も多いし
 慣れない仕事で疲れてる?」

「いえ…それは、大丈夫」

”疲れてる”というよりかは
これからどうしたらいいのか悩んでると言った方が、たぶん正しい。

「今日はこの辺にしよっか。
 早めに上がっていいよ」

「え…」

呆れられたのか
仕事を切り上げて返って良いって言われてしまい
仕方なく帰宅する事に。