本当、その通りだと思う。
日々の努力で積み上げてきた結果や実績を
私は何1つ持ってない。
言われて当然だ。

「よりによって然の元で“モデルとして”働くなんて…どんな手を使ったの?
 まさか彼と寝たんじゃ…」

「それは違うッ」

黙って聞くだけにするつもりだったのに
思わず否定の言葉を荒げてしまった。

彼のベッドで寝落ちしてしまったし
押し倒されたりしたのも事実だけど
体を重ねるだなんて…

「じゃぁどうして然が貴方を気に入ったの?」

「…と言われましても。」

本人ではないので
私にも彼の心は読めないです。

「綺咲さん
 然の事をどう思っているの?」

「どう…と言われましても
 プロデューサー…かと。」

他に言いようもないけれど
この人が然さんを好きなのがわかるから
その質問には答えづらくて
喧嘩売ってるような言い方になってしまう。

「あのねぇ、そんな答えで私がッ」

何かを言い掛けたところで
彼女の持っていたスマホの着信が鳴ってしまい
一時中断となった。