『よく出来ました』と言うように
頭を撫でる彼に翻弄されながら
私はこの曖昧な気持ちが何なのか
答えを見つけるのに精一杯だった。

恋なんて久しく経験してなかった私には
この課題は難しすぎたんだ。



―――その後。


彼の車で送ってもらい自宅へと帰宅。
シャワーを済ませ髪を乾かしながら
頭に浮かぶのは”鳴瀬 然“の事。

「あの人は本当に何を考えているの?
 私の事…どう思っているのか
 結局教えてはくれなかったし…」

30歳にもなって私…朝帰りしちゃったし。

度重なる失態に
明日から彼とどんな顔して会っていいのかわからない。
それにモデルっていう仕事の内容だって。

「これからどうなるんだろ…」

コンタクトレンズを外し眼鏡の自分に戻りながら
鏡に向かって溜め息を吐いた―――