なに…この変わりようは。
スイッチでも切れた?

「明日から早速仕事を始めるから
 今日は帰ってゆっくり休んで。」

「ちょ、ちょっと待って?
 貴方がわからない。
 さっきの…キスは、どういう意味なの?
 どうしてそんな事したの?」

この人にただ振り回されただけに感じて
私は気分が悪くて問い詰めてしまった。

「わからない…か。
 まぁそうだよね、急に押し倒しちゃったし。
 だけどあのままだと俺が止まらなくなるから、ね。
 これから俺まだ仕事だしさ。
 プライベートタイムは終わり。
 期待させたのにごめんね?」

「き、期待なんて
 してないッ!」

声を張って否定したけど
全然この人に響いてる様子がなく
ニコっと笑顔だけ返してきた。

「貴方はいったい…」

「”然”」

「え?」

「そう呼んで?
 由凪さん」

甘いマスクで見つめながら誘惑の言葉なんて…
本当にズルイ人だと思う。

私には免疫がなくて刺激が強すぎる。

それなのに…

「ぜ…ん、さん…」

完全に彼のペースに惹き込まれている自分がいる。