「背中、任せてもいい?」

僕が訊ねると、「もちろんだ!」とリオンは強く言う。こちらの数は二人、それに対して物の怪は十体以上。多勢に無勢の状態だ。普通なら、こんな状況だったら諦めているだろう。特に、誰も信じることができなかった太宰修也(ださいしゅうや)なら……。

でも、ノワールは違う。ノワールは仲間を心から信じている。これまで、みんなで協力して物の怪と戦ってきた。大丈夫、きっと勝てる!

僕が走り出すと同時にリオンが矢を放つ。勝負開始の合図だ。

長い爪のついた手足、僕と同じく剣を持った物の怪たちが次々と攻撃をしようとする。僕はそれを剣で受け止め、隙を見て距離を一瞬だけ取り、相手が怯んだ隙に首を斬り落としたり、手足を斬って動きを封じたりしていく。

辺りには物の怪の悲鳴が響き、剣が肉を切り裂いていく音、弓矢が空を切る音がした。僕とリオンは何も話さず、視線を交わすことなく、ただ目の前にいる敵を見て戦い続ける。