「……苦しかったよね」

僕がそう物の怪たちを見ると、物の怪たちはさらに涙をこぼす。そして醜く恐ろしい怪物の姿から、徐々に人の姿へと変化していった。

何て悲しい夢だろう。この人たちは、人として死ねなかった。物の怪という醜い存在のまま最期を迎えた。夢の中でやっと人間になれたんだ。

僕の頬を涙が伝う。そして、ふわりと体が浮き上がる感覚と共に、徐々に覚醒していった。



リオンたちは、力を合わせてノワールを探し回った。街を彷徨う物の怪は倒し、魔法や能力を使って探していく。そして、ついにノワールを見つけた。

「ここにノワールが……」

リオンが見上げたのは、前世でノワールが通っていたという高校だった。メルキュールは「懐かしい」と呟いた後、頷く。

校舎内に入り、気配のする屋上へと走る。屋上までの道のりが長く感じた。

「ノワール!!」

リオンがそう叫ぶように言いながら屋上のドアを開けた時、ノワールは地面に寝かされていた。そして、ノワールをオズワルドがナイフで刺そうとしている。