リオンは「ごめん……」と言いながらも、まだ呼吸は元に戻っていない。そんな中、リオンは言葉を口にした。

「ノワールが……ノワールが……オズワルドさんに連れ去られた……」

その言葉に、カズはとても驚いていた。しかし、メルキュールはよくないことが起きたのだろうと予想していたためか、まだ頭を使って考えることができる。

「どうしよう……ノワールに何かあったら……」

リオンは顔を真っ青にしながらそう言った。確かに、あれほど冷酷な性格のオズワルドがノワールに何もしないという保証はどこにもない。

「先生……」

リオンの不安が伝染したのか、エリカが泣きそうな顔をする。しかし、メルキュールは冷静に二人の肩に優しく手を置いた。

「手分けしてノワールを探そう。ノワールが無事でいられるかどうかは僕らに恐らくかかってくる。まずは探そう。この世界にノワールがいるのはわかってる。だから、きっと見つけられるよ。お互いの力を使うんだ」