同じ頃、カズとメルキュールはゼエハアと荒い息を吸ったり吐いたりしながら走っていく。二人の後ろには巨大な鬼のような姿をした物の怪がおり、二人はその物の怪から逃げているのだ。

「さすがに……これ以上……逃げ続けるわけには……いかない！」

メルキュールがそう言うと、カズが「わかってる！」と大声で言った。

「それはわかってる！でも……お前が戦闘が苦手だから……作戦を練ってるだけだ！」

そうカズは言ったものの、いい案は浮かんでいないようだ。がむしゃらに逃げ続けている。それを見たメルキュールは「あのさ！」と声をかけた。

「それなら、僕の作戦を試してくれないかな？」

「はあ！？」

メルキュールは息を切らせながらも、何とかカズに作戦を話す。物の怪が後ろにいる中、作戦を話していいものなのかと思う人もいるだろうが、そのことに関しては心配ない。どうやらオズワルドが召喚した物の怪たちは知能がないに等しく、メルキュールたちの言葉を理解できていないからだ。