魔法使い兼小説家の僕、ノワールはリオンたちに抱き締められていた。誰のものかわからない、けれどとても温かくて愛おしい音が響いていく。

「……落ち着いたか？」

カズに訊ねられ、僕はコクリと頷く。先ほどあれだけ傷付いたのが嘘みたいだ。心の中は綺麗な青空を見せている。

「みんな、ありがとう」

僕がそう言った微笑むと、「また辛かったら言えよ」とリオンに肩を叩かれた。エリカにシャルロット、そしてメルキュールも笑って僕を見てくれる。……幸せだな。

「先生、私たち、オズワルドさんを倒さないとこの世界から出られないんじゃないでしょうか？」

エリカが訊ね、僕は「恐らくそうだろうね」と返す。今までも物の怪のボスを倒さない限り、本の世界から出ることはできなかった。しかし、今回は魔法使いが相手だ。緊張が胸に走る。

「魔法使いだろうが警察だろうが関係ねぇ！！俺らで力を合わせて戦うしか道はねぇんだ！！俺はもう覚悟はできてる！」