いつの間にか、私の足元にだけ雪がないのに気がついた。


オブラート程の薄さしかなかった雪が、辺りにしんしんと降り積もっている。


肩に積もる雪を見て、なんだか自分が可哀想になった。


もう一度だけ電話してみる。


繰り返し、むなしく鳴り続ける呼び出し音が、私をせかした。










怒ったんだ。










髪の毛に絡まって固まった雪を払い、部屋に戻った。