「そうだ、3日後の病院、私もついていってもいい?」
飲み物を注文して店員さんが机を離れてから晴が切り出した。
「ん?いいけど…。」
なんで?って顔で晴のことを見る瞳。
「いや、ちょっと琴美先生に話したいことがあって。」
晴はナハハ、と苦笑いをこぼした。
「わかった、じゃあ一緒に行こう!また細かい時間は帰ったら連絡するね。」
「うん、ありがと。」
タイミングよく、飲み物が届いた。
「あー美味しそう、晴ありがとね!」
「いえいえ。」
幸せそうな笑みを浮かべる瞳に晴の表情も自然に緩んでくる。
「じゃあ勉強しよっか。何からしようかな~。」
おしゃべりモードから勉強モードへと切り替えるように瞳が言うと晴の表情も切り替わった。
「とりあえず総復習だよね、私は数Ⅲと数Bが嫌いすぎて…。」
「晴で嫌いとか言ってたら世の中のみんなが嫌いになっちゃうから!まあ確かに数Bが嫌いだとこの前やった数Ⅲの範囲は面倒くさいというかなんというか…。」
「でしょ!?」
「私も一応数Ⅲの復習しとこうかな、なんか晴に流されている気もするけど。」
「あは、ばれた?」
「もう!その後は英語もしなくちゃね。この2年間、耳にタコができるぐらい英語は毎日やれって言われてきたからね…。」
「そうだね、頑張ろう!」
瞳も晴も医学部医学科志望でがっつり理系なので文系を選択した生徒は履修しない数Ⅲの授業がある。相変わらず晴は学年トップ争いをしており、瞳もトップではないとはいえそこそこ上位に食い込んでいるので、どちらも数学が苦手だというわけではない。しかしいかんせん数Bの問題は公式が多く、さらに数Ⅲはその応用になってくるので復習や練習を重ねて場数を踏んでおく必要がある。
英語も言語であり、いわゆる暗記科目と同じ要領で勉強したら何とかなるものではないので毎日文章を読むことが大切になってくる。
そういうわけで二人は今日の勉強の予定をざっくりと立てて、勉強にとりくんだ。