「なんか違和感多くならなかった?って聞かれて。一応念のためにもう一回心電図を付け直して3日後にもう一回診断してもらうことになったの。」
「え…。」
「悪くなったわけじゃないけど念のためだから、きっと大丈夫だよ。ストレスかもしれないって遠藤先生が言ってたし。」
心配しないで、と瞳は笑う。しかし晴には瞳が無理して笑っているように見えて仕方がなかった。
「でもストレス?どうしたの?」
「いやー、特には感じてないんだけど、クラス替えが不安なのかもなって思って。それに受験生で勉強しなくちゃいけないし。」
「たしかに、瞳は人見知りするもんね。」
「うん…。また晴と同じクラスがいいな…。」
瞳が本音を漏らしたと同時に晴の前で今日初めて不安そうな顔をした。
「私も瞳と一緒がいいな!けどもし離れたとしてもきっと大丈夫だよ。うちのコースはそんなに人数多くないから単純計算で今までのクラスメイトのうちの半分は同じクラスだし、それに田川先生も近くの教室にいるはずだし!」
晴と瞳が所属する特進コースは80人で2クラス分。つまり同じコースに所属する生徒の半分は既に2年間同じクラスで仲良く過ごしてきている。また少なからず隣のもう1クラスの生徒とも関わりがあるので、仲が良い生徒もいれば少し話したことがある生徒も多数いる。
そして、コースを担任する先生は原則3年間変わらない。つまりもし担任が田川先生から外れたとしても隣のクラスには田川先生がいて、何かとかかわりをもつこともできる。
「そっか…。そうだよね、なんか大丈夫な気がしてきた。」
晴に説得されてやっと心からの微笑みを見せた。
「そうそう。それに、同じコースの違うクラスだった子たちとも比較的みんな仲良しだし、クラス一緒だった子なんかは瞳のこともよく知ってるんだから。」
「そうだね。あんまり考えないようにするよ。多分大丈夫だよね。」
「きっと大丈夫!今日は甘いの飲んじゃいなよ、おごってあげる。」
「えー、自分で払うよ…。」
「いいのいいの、病院お疲れちゃんへのご褒美だから!」
「いいの?それならお言葉に甘えてこの生クリームたくさんのったやつ頼んじゃおうかな。」
晴の突然のおごってあげる宣言に瞳は驚いて目を瞬かせたが、晴の優しさを感じて素直に甘えることにした。