(ストレスか…。受験生になるし、勉強も頑張らないといけないって思うし。そういうことなのかな…。それに3年生ではクラス替えもあるみたいだし。)
桜燐高校では2年生の途中で文理選択を行い、3年生で文理別にクラスが分けられる。1,2年生ではクラス替えが無かったのだが3年生に上がるタイミングで高校生活最初で最後のクラス替えが行われるのだ。
クラス替えで今まで仲良くしてきたクラスメイトたちとわかれ、新しいクラスメイトたちと最後1年の生活を送ることになるため、人見知りな瞳はその点を少し心配していた。それが今回のストレスにつながったのかもしれない、と漠然と予想を立てる。
(3年生、晴と同じクラスがいいな…。)
なんとなく不安な気持ちを抱えたまま、瞳はカフェに入っていった。
―――
「お待たせ―!」
瞳は不安を押し隠して元気にふるまい、晴と合流した。
「あー、瞳だ、やっほー!病院お疲れ様。」
「うん、ありがと。」
(あれ…?なんかあった?)
瞳のことはなんでもお任せあれという感じの頼れる幼馴染である晴はなんとなく瞳の表情が浮かないのを察した。
「はー、いい天気すぎて眠たくなっちゃうな。」
そういいながら何気なく伸びをする瞳のズボンのウエストに心電図の機械がついているのを晴は見逃さなかった。
(今日って病院にホルター心電図を外しに行ってたんじゃなかったっけ?)
瞳の心臓になにか悪いことでもあったのではないかと心配になってしまう。
「晴?」
「…。」
「おーい、晴?どうかした?」
瞳に呼ばれて、物思いにふけっていた晴ははっと意識を浮上させた。
「晴?」
「え、あっ、いや…。」
思わず瞳の顔と心電図計を交互に見てしまう晴。戸惑いを隠しきれなかった。それが瞳にも伝わってしまったようだった。
「あー、これね…。今日ね、また心電図つけられちゃったんだ。」
そう言って瞳は腰につけている機械に触れる。
「なんで?!なんかあった?」