世界No.1暴走族・天海朧月 下

無性に、泣きたくなった。


「私、も……っ、優心のそばにいたいっ……」

あぁ……素直に気持ちを言えるって、こんなに幸せなんだ。


「ずっと……優心が好きだったっ……大嫌いなんて言って、ごめん……っ」

優心
「あんなの、大好きって言われてるもんだから気にしてなかった……」

私の涙を拭った優心。

優心
「七聖は、泣きたい時に泣けばいい。俺が七聖の癒しになるから」


「っ……なにそれ。最高にかっこいいんだよバカ野郎っ……!」

優心
「貶すのか褒めるのかどっちかにしろ……!」
私の右涙袋に触れた。

……?

優心
「俺と……生涯共にして」


「っ……うん」

優心の顔が近づく。

そっと目をつぶると、唇を重ねられた。

両想いのキスは、今までよりも甘くて……。

まるで、誓いのキスをしてる気分だった。


「……照れくさい」

優心
「渡したいもんって、誓いのキスのこと」

照れくさそうにはにかんだ優心。

っ……。

優心
「俺らしくねーけど、伝わっただろ!」
あ、いつもの優心に戻った。


「……もっかいしたい」

優心
「……え、はぁっ!?」

盛大に顔を赤くした優心。

……まさか。


「優心、その反応……まさか、女の子から攻められるの初めてなの?」

座った優心の上を跨いで、顔を近づけてる私。

優心
「わ、悪いかよ!お前が初恋なんだよ!誰とも付き合ったことなんかねぇんだから!」

もちろん抱いたこともねぇし!と耳まで赤くする優心。

なんだ……。


「ふふ、そっかそっかぁ、童貞なのかぁ。なんか意外〜」
優心
「ま、まさかお前、処女じゃないとか言わないよな!?」


「なっ、ビッチみたいな言い方すんな!私はれっきとした処女だし!そうだよ!優心に初めてキスされた時本気で焦ったんだから!私の大事なファーストキスを……!」

優心
「乙女かよ……!」

乙女でなにが悪い!


「でも……嫌じゃなかったよ。初めてのキスが優心で、嫌なんかじゃなかった」

唇にしたらたぶん気絶させちゃうから、頬にキスをした。

優心
「な、七聖お前……っ」


「右目見えないから距離わかんない〜♪」
どさくさに紛れて優心に抱きついてそのまま押し倒す形になった。

優心
「てめぇ……っ!立場逆だろ!!」


「元は総長同士じゃんか。立場一緒!」

優心
「アホ!今は俺が上だろ!」


「なに言ってんの?今は私が優心の上に乗っかってんじゃん!」

優心
「お前……マジ腹立つ!いっぺん潰すぞ!」

おぉ、怒ってる怒ってる。


「私、ケンカ強いんだから」

優心
「潰すの意味わかってんのか?抱くって意味」

………………………………え。

「っ……それはちょっと困る」

だって……初めてなんて、まだ怖い。

痛いとか聞くし……??

優心
「ま……落ち着くからこれでもいいけどな!」

優心の上にうつ伏せになってる私の頭を撫でてきた。

私らなりのイチャイチャは、ちょうどいい。









✤琥太郎side✤

倉庫の工事も進んでる中、俺らはある問題を抱えていた。

優心
「白狐の拠点って、結局どこなんだ?」

そう、それだ。

七聖
「最初は違うっぽかったし、その次は意味不明な武道館だったし……」

蒼馬
「他の族の拠点は把握できるけど、白狐だけわからないんだよね」

大和
「さすがに凪も俺も探してるけど見つからねーぞ!」


「他の族に聞いても無駄だった」


「ハッ……ま、まさか!」

突然大声を出した蓮。
なんだよ。


「実は全員幽霊とか!」

翔悟
「ま、マジか!!」

朝陽
「そんなわけないから。ふたりともバカだよ」


「さすがにそれはねぇだろ」

アホかお前ら。

優心
「あーあ、あっちぃなぁ……!天王の幹部部屋はクーラーねぇの!?」


「あるしついてる」

七聖
「こんだけ人口密度すごいんだから我慢くらいしてよ優心」

優心
「七聖、なにアイス食ってんだよ!俺にも一口くれ!じゃねーと死ぬ!」
七聖
「はぁっ!?あ!ちょ、優心!」

パクッと七聖の食べてるソフトクリームを一口食べた優心。

あーあ、七聖の好物……。

優心
「あー!生き返る!」

七聖
「な……っ!ふざけんな優心!!なんっでほとんど食べるんだ!コーンのとこしか残ってないじゃん!どうしてくれんだよ!?」

朝陽
「ごめんね七聖、優心の一口でかいから」

七聖
「うっ……私のソフトクリーム……」

ワッフルコーンをかじる七聖。

………気づかないのか?


「なんでお前ら気づかねーの!?」