……へぇ、海王も。
なら、会わないようにしなきゃ。
私
「わかった。会ってケンカになんないように気をつけるよ。行ってきます」
「総長、いってらっしゃい!」
「気をつけてくださいっす!」
倉庫を出て、歩いた。
やば……なんか、頭重い……。
いや、気のせいだよね。うん。
街に出ると、たくさんの人がいた。
たまに路地裏とかでケンカがあるから、それを確かめないと。
もししてたら、止めないといけない。
それが私総長の役目。
もう夏なのに、なんでこんな寒いんだ?
まさか……風邪?
最近ベランダにずっといたからかな?
目の前もぐらついて……。
「七聖……?」
え……?
名前を呼ばれて振り向くと、優心と朝陽と翔悟と凪がいた。
っ……。
優心
「な……」
私はぷいっと前を向いて、ふらつく足で必死に走った。
優心
「あ、おい!待て!」
朝陽
「七聖っ、人にぶつかるよ!」
パシッと優心に腕を掴まれた。
そして、優心の方を向かされる。
今……一番、会いたくないのに。
優心
「七聖、顔赤いぞ?熱があんじゃねーの!?」
私
「っ、関係ないでしょ……」
優心
「関係あるに決まってんだろ!」
どうして……。
どうして、私だってわかったんだろ。
前髪だって作ったのに……。
凪
「大和から聞いたよ?忙しくて暇がないって」
ビクッと肩が揺れた。
翔悟
「電話しても出ないし、どうしたんだ七聖!」
な、んで……。
私
「私はあんたらを裏切った……なのに、なんでそんなこと言ってくんの……?」
朝陽
「みんな、七聖が好きだからだよ」
それだけで……ここまでするの?
私
「私は……誰も好きにならないから、諦めて他の子探してよ」
優心
「お前が好きなのは俺だろ……!なんでそんな嘘を言うんだよ!?」
やめて……。
私
「……私は、海王じゃなくて直接白狐を倒すから。海王と戦うつもりはない」
優心
「はぁっ!?お前、それ危ないだろ!」
私
「危ないけど、命をかけても守りたいものがあるの!あんたらに邪魔されたくない!」
大声を出したせいで、頭がクラクラしてきた。
やば……立って、られない……。
でも、行かないと。
私
「じゃあ私、もう、行く……」
優心
「……行かせるかよ」
その瞬間、私の身体が地面から離れた。
え……お、お姫様抱っこ?
優心
「んな熱出てる状態で……行かせねー」
私
「っ、でも優心だってパトロール……」
朝陽
「し終わったとこ。だから安心して七聖」
翔悟
「まぁ、寝とけよ!な!」
っ……。
弱ってる姿なんか、見せたくない。
なのに……。
私
「あった、かい……」
優心
「っ……」
どうして……こんな、安心するんだろ。
たった1ヶ月、会わなかっただけ。
ダメだ……私の決意が、揺らぎそう。
何も考えるな……。
目を閉じると、そのまま眠ってしまった。
隙なんか……作りたくないのに。
どうして……力が、抜けるんだろ。
✶優心side✶
久しぶりに会った七聖は、細かった。
元から細いのに、さらに細くて。
顔だって、やつれてた。
天王の奴ら、なにやってんだよ……。
七聖のこと、大事じゃねーのかよ。
朝陽
「七聖の言う、守りたいものってなんだろ」
七聖の、守りたいもの………。
頭に、如月が浮かんだ。
チッ……従兄のくせに。
七聖を抱き上げたまま寮の敷地内に入ると日向と樹と遭遇した。
日向
「え!な、七聖!?」
樹
「ど、どしたんすか!?倒れたんすか!?」
俺
「熱を出してるだけだ。俺の部屋に連れてく」
日向
「看病なら俺得意ですよ!」
樹
「俺も!よく雫看病してるし!」
マジか……!
翔悟
「じゃあ行こうぜ!」
凪
「一応静かにしなよ、翔悟……」
部屋に行って、ベッドに七聖を寝かせた。
いつぶりだ……七聖が、俺の部屋にいるのは。
日向
「じゃあ着替えさせましょうか!服はどこにあります?」
樹
「汗かくだろうし、なるべく早く着替えさせましょう」
着替えか……。
確か、七聖の服がクローゼットにあったよな。
何も持っていかなかったから、七聖の荷物は一通りある。
翔悟
「はぁっ!?お、お前らに七聖の裸見せるわけねぇだろー!」
凪
「アホ。別に下着は脱がないしょ」
そういや……七聖の身体は、華奢で綺麗だ。
この身体……誰にも見せたくない。
俺
「全員部屋から出ろ。俺がやる!」
一同
「はぁっ!?」
俺
「俺は、七聖のバスタオル巻いただけの身体見たことある。だから俺がやる」