世界No.1暴走族・天海朧月 下



なんだ?なにがしたいんだ?

優心
「右目……大丈夫か?」


「あぁ、うん。まだ慣れないけど……」

えへへ、と笑った。

優心
「無理に笑ったりすんな。ブス」

ぶ、ブス……!?


「あれ、私優心に告白されたよね?」

優心
「あぁ、何度もな!」


「なのにブスってひどくない!?ねぇ!」

優心
「あーもう……嘘だって!お前は可愛い!!」
ぷいっと顔を背けた優心。

………っ!

優心
「つか、お前の気持ちまだ聞いてないんだけどどういうことだよ!?答えろ!」

あ、そうだった……。

うぅ……恥ずかしいな……。


「っ……わ、私……」

優心の手が私の頭を撫でる。

くすぐったい……。


「私っ、優心のこと……、」

文也
「七聖ちゃんおっはー!調子はどう!?」

と、タイミング良く入ってきた文也さん。
優心
「父さん……マジ死んで!」

文也
「え、なんかお取り込み中ー?」

〜〜〜っ、恥ずかしい!


「い、いえ!私、舞衣さんのとこ行きます!」

私はそう言って、ダッシュで部屋を出た。

頬を、赤く染めたまま。



家を出て、倉庫に行く私と優心。


「………」

優心
「………」

な、なんなのこの無言……。

さっきの事もあって、気まずい……。
優心
「なぁ、七聖」

ビクッ!


「なに?」

いきなり呼ぶなよ!

びっくりするじゃんか!

優心
「いーや、なんでもない」

……?

そっと右手を握った優心。

優心
「右は俺がいるから、安心だろ!」

っ……。


「……ありがとう」

なんか……嘘みたいだ。
こうして、優心といれるなんて。

倉庫に行くと、天王と海王がいた。

ぎゅーぎゅーだな……。

「総長!七聖ちゃん!」

「おかえりっす!」

日向
「七聖〜!待ってた!」


「ほら七聖、ジュース」

みんな……。


「ただいまーっ!」

倉庫に響いた私の声。

琥太郎
「バカ七聖。大声出さなくても聞こえるし」

蒼馬
「まぁいいじゃん。元気で」

えへへっ………!
私は優心と奥に移動した。

翔悟
「今日は俺ら族の名前決めなんだからな!」


「変なのは嫌だからな!特に翔悟!お前変なの考えそう!」

翔悟
「んだとぉ!?やんのか!?」

いや、早々ケンカしてんじゃん。

朝陽
「七聖、ここ座りなよ」


「あ、ありがとう」

朝陽が用意してくれた椅子に座った。

優心
「で、どうする?」

大和
「んなの決まってんだろ!天王!」

一同
「まんまじゃねーか……!」

「天王なんて無理だね。俺は海王」


「いや、そのまんまシリーズやめよ?」

凪&大和
「はい……」

朝陽
「天王と海王を混ぜた名前にするのは?」

お……なんか、まともな案だ。

琥太郎
「名案だな。天王海王とか」

蒼馬
「天海王とか?」

んー………。


「天海に何かつけたそうぜ!」

翔悟
「カッケーやつ!」

あ、ケンカ終わったんだ。

「天海龍とか!」

翔悟
「天海紅蓮地獄とか!」

大和
「天海夜行とか!」

やばい、もうこの3人三つ子に見えてきた。

琥太郎
「どれも意味不明だな」

蒼馬
「蓮のはまともだけど、ありがちだよね」

朝陽
「普通にダサい。No.1目指す族がそんなダサい名前とか、嫌だよね」

おうおうおうおう、結構言うな3人。

優心
「目指すなんかしねーよ!」

急にそう言った優心。

ガタッと立ち上がって、
優心
「なるんだ!No.1に!」

その瞬間、倉庫にいるみんなが優心に拍手をした。

日向
「総長カッケー……!」


「だな!」

優心、キラキラしてる……。

なんか、嬉しいっ……。

ふと頭に優心と見た朧月が浮かんだ。

……あ。


「天海朧月……はどうかな」

気がつけば、もう口に出してた。

シン……と静まったみんな。

あ、あれ?