世界No.1暴走族・天海朧月 下

✿七聖side✿

それから数日後、私の右目は端から見たら見える人になるけど、完全に見えなくなった。

包帯もガーゼも取れて、今日は気分がいい。

優心
「七聖、起きたー?」


「あっ、優心!おはよっ」

ここは優心の本家らしく、この数日間優心もここに住んでた。

優心
「あのさ……」

私に近づいて、手を握ってきた優心。

……?


「優心?」

優心
「その……」


なんだ?なにがしたいんだ?

優心
「右目……大丈夫か?」


「あぁ、うん。まだ慣れないけど……」

えへへ、と笑った。

優心
「無理に笑ったりすんな。ブス」

ぶ、ブス……!?


「あれ、私優心に告白されたよね?」

優心
「あぁ、何度もな!」


「なのにブスってひどくない!?ねぇ!」

優心
「あーもう……嘘だって!お前は可愛い!!」
ぷいっと顔を背けた優心。

………っ!

優心
「つか、お前の気持ちまだ聞いてないんだけどどういうことだよ!?答えろ!」

あ、そうだった……。

うぅ……恥ずかしいな……。


「っ……わ、私……」

優心の手が私の頭を撫でる。

くすぐったい……。


「私っ、優心のこと……、」

文也
「七聖ちゃんおっはー!調子はどう!?」

と、タイミング良く入ってきた文也さん。
優心
「父さん……マジ死んで!」

文也
「え、なんかお取り込み中ー?」

〜〜〜っ、恥ずかしい!


「い、いえ!私、舞衣さんのとこ行きます!」

私はそう言って、ダッシュで部屋を出た。

頬を、赤く染めたまま。



家を出て、倉庫に行く私と優心。


「………」

優心
「………」

な、なんなのこの無言……。

さっきの事もあって、気まずい……。
優心
「なぁ、七聖」

ビクッ!


「なに?」

いきなり呼ぶなよ!

びっくりするじゃんか!

優心
「いーや、なんでもない」

……?

そっと右手を握った優心。

優心
「右は俺がいるから、安心だろ!」

っ……。


「……ありがとう」

なんか……嘘みたいだ。
こうして、優心といれるなんて。

倉庫に行くと、天王と海王がいた。

ぎゅーぎゅーだな……。

「総長!七聖ちゃん!」

「おかえりっす!」

日向
「七聖〜!待ってた!」


「ほら七聖、ジュース」

みんな……。


「ただいまーっ!」

倉庫に響いた私の声。

琥太郎
「バカ七聖。大声出さなくても聞こえるし」

蒼馬
「まぁいいじゃん。元気で」

えへへっ………!
私は優心と奥に移動した。

翔悟
「今日は俺ら族の名前決めなんだからな!」


「変なのは嫌だからな!特に翔悟!お前変なの考えそう!」

翔悟
「んだとぉ!?やんのか!?」

いや、早々ケンカしてんじゃん。

朝陽
「七聖、ここ座りなよ」


「あ、ありがとう」

朝陽が用意してくれた椅子に座った。

優心
「で、どうする?」

大和
「んなの決まってんだろ!天王!」

一同
「まんまじゃねーか……!」

「天王なんて無理だね。俺は海王」


「いや、そのまんまシリーズやめよ?」

凪&大和
「はい……」

朝陽
「天王と海王を混ぜた名前にするのは?」

お……なんか、まともな案だ。

琥太郎
「名案だな。天王海王とか」

蒼馬
「天海王とか?」

んー………。


「天海に何かつけたそうぜ!」

翔悟
「カッケーやつ!」

あ、ケンカ終わったんだ。

「天海龍とか!」

翔悟
「天海紅蓮地獄とか!」

大和
「天海夜行とか!」

やばい、もうこの3人三つ子に見えてきた。

琥太郎
「どれも意味不明だな」

蒼馬
「蓮のはまともだけど、ありがちだよね」

朝陽
「普通にダサい。No.1目指す族がそんなダサい名前とか、嫌だよね」

おうおうおうおう、結構言うな3人。

優心
「目指すなんかしねーよ!」

急にそう言った優心。

ガタッと立ち上がって、